小話
短いお話をつぶやいてみる。夢系の話が主になると思いますが、名前変換機能はないです。
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イナイレ夢・鬼道さんと私6
「やあ土門」
「うわっ、田口何してるんだよ!」
「別にあわてなくてもいいじゃない。確かに私は帝国生だがサッカー部ではないし」
「そういう問題か!」
「それに本当に雷門に用事があって来てるんだ。調理部として」
「え、ちょ、調理部?田口部活入ってたのか!?」
「完璧に幽霊だけどね。料理は好きだから」
と言ってみるものの、一年の時の料理はひどかったな。
何を作っても黒こげだったし。
それに比べたら今すごく進化してないか、私。
「まあ、確かにたまに差し入れてくれるお菓子うまかったなあ」
「ああ、そう?じゃあまたの機会に持ってくるよ」
「マジで?楽しみにしてるな」
「おーい土門! 何してるんだー?」
「練習始まるぞって、帝国の制服!?まさか偵察か!?」
「偵察?何の偵察だ?」
きょとんとした顔で首をかしげる田口は本当に何も知らないような顔をしている。
正体を知っている俺でさえそれに不自然さを感じないあたりほんとこの人すげえ。
「とぼけるな、どうせ帝国サッカー部の偵察なんだろ!?」
「サッカー?ピンク君、私は調理部としてこちらに招かれたから来ているんだが」
そう言って小脇に抱えていた大きめの封筒を田口は染岡に見せた。
その封筒を見ると、雷門中から帝国宛てに送ったものだということが分かる。
更に封筒の中身を出して、田口は染岡に手渡した。
「・・・調理部親睦会?」
「うん、調理部同士で集まろうかって話になって、その計画を立てるために来たんだ。
本当は部長と二人で来るはずだったんだけど、急に風邪で休んじゃって。
だから今回は副部長の私だけが来たんだ」
「(ええ、田口副部長だったのか!?幽霊なのに!?)」
「(顔に出すな馬鹿)ここに来るのは初めてだったから、ちょうど通りかかったノッポ君に家庭科室への道を聞いていたんだ。練習を邪魔して悪かったね」
「ああ、そういうことだったのか。土門、家庭科室までつれててやれよ。俺たちは先に始めとくから」
「ああ、わかったぜ。こっちです、えーっと」
「田口だ。田口由希。中学二年。君は?」
「俺は土門。俺も中二だ。よろしくな」
「ああ、よろしくな」
「(田口、ポーカーフェイス過ぎるな。俺だって事情知らなきゃ完全に騙されるぞあれは)」
「(そういえば、夏美がサッカー部のマネージャーなんだよな。・・・土門にばれてないよな?)」
土門とはそれなりに仲良し。
イナイレ夢・鬼道さんと私5
移動教室で廊下を歩いていると佐久間に出会った。
「うわっ、佐久間だし」
「お前な、それはこっちの台詞だ!」
「ええっ、何、言いがかりか」
「言いがかりつけてくるのはお前のほうだろ馬鹿!」
「大丈夫、佐久間のほうが馬鹿だよ」
「・・・お前喧嘩売ってんのか」
「喧嘩は鬼道さんがダメって言うからしない」
「だー、もう!いいからお前は鬼道さんのところ行ってろ。ちょろちょろすんな」
「言われなくても佐久間に割く時間はこれ以上ないよ」
「あー、はいはい、じゃあな」
「うん、じゃあ部活の時にでも」
なんだかんだ言って、お互い嫌いではない。
***
喧嘩するほど仲がいい、というには田口さんが一方的すぎますが。
イナイレ夢・鬼道さんと私4
源田さんと田口さん
***
「あ、源田」
「おはよう、田口」
「おはよー」
「鬼道は一緒じゃないのか」
「うん、なんか先生に用があるって言ってたからお留守番」
「そうか」
「ところで何か用だった?」
「鬼道に古文の教科書を借りようかと思ったんだが」
「今日古文ないから教科書はないと思うよ。鬼道さん置き勉しないし」
「そうか、ちなみに田口は?」
「私は置き勉派だからあるよ、・・・はいどうぞー」
「ありがとう、次の休み時間に返すな」
「はい、わかったー」
「(・・・置き勉してるのに何故成績いいのだろうか)」
鬼道さん以外に敬語は使わない田口。
一応夏美さんの妹なので頭は良い。
イナイレ夢・鬼道さんと私3
「…佐久間を仕留めそこないました」
「…そんな悔しそうな顔をするな。というかチームメイトには手を出すな」
舌打ちする田口さんに、鬼道さんは諭すように説得を試みます。
「…じゃぁ影山だったらいいですか」
「危ないから止めておけ」
暗に、といいますか、直球で自分達の総帥を闇討ちする過激な発言が飛び出しましたが、鬼道さんは総帥よりも田口さんの身を案じました。
反抗期です。
田口さんは表面上、若干不服そうですが、鬼道さんの気遣いに内心ほくほくしていました。
「…んんん」
「唸ってもだめだ」
「……」
「…上目使いで見てもだめだ」
「じゃぁもう脱ぐしかないですね」
「脱ぐな馬鹿!服に手をかけるな!」
ですが佐久間はともかく、田口さんは影山の事が好きではありません。
鬼道さんに害を成すようなら、いつでも単身で乗り込んでいく覚悟は出来ています。
鬼道さんにそのことをアピールするつもりで唸ったりしましたが、途中から方向性が迷子になりました。
「わぁ鬼道さん顔真っ赤!可愛いー」
「だから服から手を離せっ!田口!」
いたいけな中学生をからかうように、ウエストギリギリで服が行ったり来たりしています。
お互い必死なのか、力を込める腕がプルプルします。
田口さんのジャージは間違いなく伸びてしまうでしょう。
「…今日も平和だな」
当初の目的を忘れた田口さんはすごく幸せそうにはしゃいでいます。
それを遠巻きに見守る源田はほほえましいと目を細めます。
「源田、俺は全く平和じゃなかった」
その隣でげっそりとした表情で佐久間が苦々しく文句を言っています。
先程、田口さんの蜂蜜レモンがよほど聞いたのでしょう。
まだ顔色が優れません。
「……今日も平和だな」
しかし敢えてそれを指摘しない源田は、一旦佐久間から目線を外し、明後日の方向を見ながら、再びそう呟きましたとさ。
***
源田が田口さんの襲撃を受けないのはおかんだからです。
イナイレ夢・鬼道さんと私2
「鬼道さん、鬼道さん」
「どうした田口」
「たまにはマネージャーっぽく蜂蜜レモン作ってきてみました。すごくないですか」
「そうか、ありがとう。ところで田口」
「なんですか鬼道さん」
「そもそもお前マネージャーじゃなかったよな?」
「バレましたか」
「当たり前だろう」
「そこは気づかない振りをして下さいよ。気が効きませんね」
「(・・・何故俺が怒られるのだろう)」
「ところで鬼道さん」
「なんだ田口」
「今度の決勝、観に行っていいですか」
「ああ、構わないが」
「蜂蜜レモン、作りましょうか」
「・・・ああ、頼む」
「何らかの形で佐久間が欠場したら私助っ人として馳せ参じますが、いかがですか」
「それは断る。というか佐久間には手を出すなよ。何度も言うが」
「そうですか、確かに手は出しませんが腹は下すかも知れません」
『わー!佐久間が泡吹き出しながら倒れたー!』
「・・・・」
「・・・・」
「・・・田口、何か言う事はあるか」
「鬼道さんの蜂蜜レモンは何も入ってないから大丈夫ですよ!」
「そういうことを聞いているんじゃない!!」
***
別に佐久間が嫌いなわけではない。
ただ相関図が
鬼道さん>>>>越えられない壁>>>>佐久間
なだけである。