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小話

短いお話をつぶやいてみる。夢系の話が主になると思いますが、名前変換機能はないです。

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鬼道さんと私・15

一之瀬と田口さん

※もし、田口さんの怪我が治って稲妻町に帰って来て雷門に転入したら。

***


「『私、鬼道さんのためならなんでも頑張れる!』って言ってたのは誰だったかな」

「…うるさい」

「そんな塞ぎ込んで迷惑なんだよ。悲劇のヒロインのつもりなのかな?」

「うるさい!お前に関係ない!」

「俺はどうでもいいけど部活の空気が悪いんだよ。自分が良ければ良いとか、最低の人間が考えることだよ」

「…じゃあ、どうしろって言うんだよ、私にはもう何もない」

「あるじゃないか、サッカーができる立派な足が」

「…そんなのあったって仕方ないよ」

「せっかく頑張って治したのに?」

「頑張りたかった理由が失くなったんだ」

「…欲張りだね」

「君ほどじゃないよ」

「あはは、確かに」


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鬼道さんと私・14

鬼道さんと田口さん


***


「鬼道さん、人参嫌いって本当ですか」

「…どこから聞いたんだ」

「癪な事に佐久間からです。苦手なんですか?」

「…ああ、どうも味が好きになれないんだ」

「そうですか…でも人参が嫌いとか可愛いですね」

「可愛いと言われてもな…」

「まあ良いじゃないですか!でも好き嫌いは少ないにこしたことはないので、ここは調理部として美味しく調理してみますよ!」

「いや、人参はいい…」

「安心してください、もう調理済みですから!」

「…は?」

「さっきのオヤツ、キャロットケーキでした!」

「…な、なんだと…!」

この日を境に鬼道さんの人参嫌いは緩和されていった。


***


人参が嫌いとか子供っぽい味覚であってほしい。

鬼道さんと私・13

鬼道さんと田口さんの通常運転


***


「私がもし鳥だったら、勉強しなくていいんでしょうか」

「どうしたんだ、らしくないな」

「…なんとなく、そう思ったんです」

「…そうか」

「もし鳥になるなら渡り鳥が良いです。色んな所に行きたいから」

「南の方は、温かそうだな」

「そうですね、きっと海も珊瑚とかできれいで…泳ぎたくなりますね」

「なら、イルカとかはどうだ?」

「いいですね、あんなに早く泳げたら気持ちいいでしょうね」

「…田口」

「はい」

「その旅は、一人で行くのか?」

「………分かりません」

「…もし、お前が鳥になったり、イルカになって旅をするなら、その時は」

「…その時は?」

「…俺は、どうしたらいいんだろうな」

付いていきたいというには自分の立場は軽くなく、離れてしまうには彼女の存在も軽くない。
だからきっと、笑顔で見送ることなんて出来ないだろう。

付いてきてほしいとは思っても、そんなの軽々しく言えるわけがない。
もっと言うと、自由に飛び回るなんて事も私には無理に決まっている。
それでも飛び出して、それでも追い掛けてくれたらな、とか思ってしまう。
けど、もしも追いかけてくれなかったらって思うと、震えて足が動かない。

「まあ、もしもの話ですし、やっぱり私は鬼道さんの傍が一番です」

「…よくそんな事が言えるな」

「あっ、嫌でしたか?」

「…そうは言っていないだろう」

「じゃあ拡大解釈しますね!」

「…好きにしろ、その解釈で、」

だからあなたの手の届く範囲で待っていますから、いつでも捕まえに来て下さい。

「…おそらく、間違ってはいない」

…まあ、既に捕まっているのと大差はないですけどね!!

(これだから、この人の傍からは離れられない)


***


うちの鬼道さんは田口さんを散々甘やかしてますけど、鬼道さんも大概田口さんに甘やかされてますよね。


鬼道さんと私・12

鬼道さんと私シリーズの連載を始める前の設定の鬼道さんと田口さん。
つまりは没です。
特に鬼道さんに変わりはないですが、田口さんは当初夏美さんの妹という設定は付いておらず、
怪我している設定もなく、別にお金持ちでも何でもなかった一般庶民の設定でした。
ちなみに話は全国大会一回戦後の話。


********


「鬼道さん、雷門に行っちゃうんですか」

「ああ、お前にはなんだかんだで色々と世話になったな」

「私を捨てていくんですか」

「ぶっ!お前どこでそんな言葉を覚えたんだ!」

「源田が体育館裏で言われていたのを真似してみました」

「・・・そうか(何があった源田!)」

「でも結果的にそうですよね。置いていくんですから」

「・・・そういうわけでは」

「離れててもどこに居ても仲間だから大丈夫、なんていったら泣きますからね」

「・・・(言おうとしてた)」

「離れてるのに、どっかに行ってしまうのに、それでも大丈夫なんて、私は嫌です。

私は大丈夫じゃないです。鬼道さんは平気なんですか?」

「・・・田口」

「だから、私も連れて行ってください。

全国に連れて行ってくれるって、約束したのは、鬼道さんです」

こいつがここまで切実な言葉を吐くなんて、思ってもみなかった。
他の誰かならば、こんな無茶なお願いに真剣に考え込む事もないだろうに。

「お前は、それでいいのか」

その言葉に、満開の笑みでうなずいた。

「私の一番は、いつだって鬼道さんですよ」

なんだかんだで俺はこいつにはひどく甘いようだ。




「・・・ところで田口、転校するといっても住む場所は確保してあるのか」

「ああ、それは心配には及びません。まだ寒くないですから」

「・・・は?」

「冬になる前には、ちゃんと屋根があるところを見つけておきますので」

「・・・田口、もう一度言う、住む場所は確保してあるのか」

「大自然の中で寝たところで死にはしません」

「そういう問題か!まさか野宿する気だったのか!?」

「私は家になんて縛られる器の狭い女ではないですよ」

「・・・田口、そこに座りなさい」

 

****


鬼道さんと田口さんはいっそ同居すればいい。
 

鬼道さんと私・11

土門と田口


***


「土門ってさー」

「ん、なんだよ田口」

「クビレすごいよね、どういう事なの」

「おまえの思考回路こそすごいよ、どういう事だよ」

「羨ましい」

「…そんな真顔でいうなよ、」

「気持ち悪いとか言ったらその腰粉砕するから」

「…んなこと言う訳無いだろ!(言わなくてよかった!)」

「…あー、男のくせに可愛いとか男のくせにスタイル抜群とか女の私はどうしたら良いの」

「(…別に悩むほどスタイル悪くないけどな…)」

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